『夜勤』に思うところがあるのか、スマホの向こうの父は考えこむように沈黙している。
「今日は面接だけの予定だったんですが、急きょ人員を確保しなければならなくなり、茉莉さんに助っ人をお願いしたんです」
淡々と、そしてよどみなく、社長は事の経緯を説明していく。
「きちんと連絡を差し上げるべきでした。こちらの配慮が足らずに、ご心配をおかけして申し訳ありませんでした」
――あ、謝った。
スマホを片手に、電話の向こう側の父に向かって頭を下げる社長の姿。その行動の意外性に驚いてしまう。
昔の『祐兄ちゃん』ならともかく、今のこの人が、他人に対して簡単に頭を下げるような人には見えなかったから、よけいに驚いた。
『……そうでしたか。経緯はわかりました。こちらこそ娘を雇っていただいて、ありがとうございます。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします』
「どうそ、ご心配なく」



