ドキドキドキと、早まる鼓動。

そして感じる、デ・ジャ・ビュ。

――あれ?

前にも、こんなシチュエーション、なかったっけ?

つい最近。

私、この瞳を、見た気がする。

心の奥底を見透かすような、そんな鋭い眼差し。

どこでだろう?

こんな印象的な眼差し、簡単に忘れそうもないけど。

でも、しばらく考えを巡らせても、まったく思い出せない。

「ご苦労さま」

ニコリともせずにそう言って、社長が私に手渡したのは、茶封筒。

何気なく受け取り何だろうと中を覗くと、1万円札が一枚入っていて『ぎょっ』とする。

「あ、あの、これは?」

何でしょう?

私は、答えを求めて、社長の顔を見つめた。