「あ、心愛……っ」
気づいたように千夏ちゃんがこっちを見る。
大丈夫…。
大丈夫だから…。
グッと手に力を入れると
「……っ、行こう……よ…」
そういった。
けど
動かない…。
「なんで!?
やっぱり、葛西さんのこと?」
桃園さんが
ハッキリそう言った。
か、葛西?
私のこと……??
「……なんで、心愛の名前が出てくんだよ」
めんどくさそうに答える瀬戸口くん。
「葛西に、男教えるって本気?
なによ、いきなり…っ。
私は、こんなにも好きなのに!!!
葛西さんだけ…。
かまわれて……ズルイ。」
消えそうな声でそう言う桃園さん。
本当に
瀬戸口くんのことが好きなんだ。
「ね、知ってた?
瀬戸口くんと、桃園さんって付き合ってたらしいよー!」
女子が楽しそうに話す声が聞こえた。
付き合ってた……??
「やっぱり!?
お似合いだと思うわー!」
お似合い……??



