ぼくのことだけ見てなよ

「それって、ピックだよね」
「あ……あ、の…」
「ピック。だよね?」
「………はい」

はぁ…。なんだろ。恐ろしすぎるわ。あんや先の尖ったモノで、普通人を傷付けようと思うのか?

「楓っ!」
「椿姫ちゃん!!」

その時だ。孝宏と鈴井さんが屋上に来たのは。2人とも走ってきたんだろう。特に鈴井さんは、かなり息が上がっていた。

「鈴井さん」
「あ、はいっ」
「椿姫のこと、よろしくね」
「うん、もちろん!」
「孝宏、ちょっと来て」
「あぁ」

鈴井さんを椿姫に任せて、孝宏をぼくの傍に呼び寄せた。そして、コソッと孝宏に椿姫の傷のことを耳打ちすると、孝宏の眉間のしわがグッと深まった。

「さぁて、どうしようかな」
「っ、ご、ごめんなさいっ!!」

ぼくが冷たい目を向けると、ピックを持ってたオンナが勢いよく頭を下げた。

「そんな、今さら謝られてもねぇ?それに、ぼくに謝られてもさぁ?痛い思いをしたのは、ぼくじゃない。椿姫だよ」
「……っ、ぅっ…」

だからキミが泣いても、なんの解決にもならないんだってば。