ぼくのことだけ見てなよ

やっぱり…。なにか隠してる。ぼくが背中を見ようと、顔を動かしたら、しゃべらなかった椿姫が、声を出して拒否をした。

「椿姫。見せて」

真剣に訴えても、首をフルフルと横に振り拒否をする。そんな椿姫を無視すると、ぼくは構わずに椿姫のジャージを捲り上げた。

「やっ!」
「椿姫……」

覗いてみて、驚いた。長さは3センチほどだろうか。血は、もうほとんど止まっていて。でも、痛々しい傷が、しっかりと椿姫の背中に付いていた。

「椿姫、今ね孝宏と一緒に鈴井さんが来るからね」
「な、つ…」
「うん。だから、それまで待ってて」
「美島、は……?」
「ぼくは、やることがあるから」

ぼくは、スッと立ち上がり、うしろにいた彼女らを見た。ビクッと肩を揺らすオンナども。

思わず笑いが込み上げた。ビクつくなら、最初からこんなこと、やらなきゃいいのに。

「傷を付けたのは誰?キミ?」
「……ぁ…」

ん、あれってピック?ギュと握りしめてた彼女を見ると、小さく発せられた言葉。目を細めて見ると、今日使っていたピックのように見えた。