ぼくのことだけ見てなよ

ひどいのはどっちだ!勝手に席に座って、勝手に名前で呼んできて!

「まぁ、いいじゃん!お互いとなりの席同士、仲良くしようよ!」
「しない」
「えー。あ、じゃあ、那津ちゃんは?那津ちゃんは、仲良くしてくれるよね?」
「えっ、わたし!?」

突然振られたのが焦ったのか、那津は驚き動揺をしていた。

「ねぇ、俺らのことキライ?」
「いえっ、キライではないけど……」
「じゃあ、一緒にいいよねっ?」
「えっと…。あの…。つ、椿姫ちゃんごめんっ!」
「え」

まぁ、こうなることはわかってたよ。那津は断ることが苦手なんだ。

だからある程度、こうなることは予想していた。

「よしっ、んじゃあ、いただきまーす」

手を合わせて、豪快にハンバーガーをかぶりつく松井。その向かいに座った(わたしの、となり…)美島は小さく「いただきまーす」と言って食べ始めた。

あー、もう最悪。そんな感情のまま、前を見れば那津と目が合い、那津は目に涙を浮かべ、わたしを見ていた。

咄嗟にスマホを出し、那津にLINEを送る。