ぼくのことだけ見てなよ

まさか美島に、そんなことを聞かれるなんて思ってもみなかった。

花火大会……。言いたくない。だって、思い出したら泣いちゃいそうだったから。

でも、コイツに言ったらどんな言葉が返ってくるのか、少しだけ気になった。

「言いたくないのなら、それでもいいけどさ」
「ちょっ…」

そう言って、美島がわたしの頭をポンと撫でた。とっさに、手を追い払うも、宙を舞ってまた置かれるわたしよりも大きな手。

「そんなオトコのことなんか忘れちゃいなよ」
「は?オトコって、わたしべつになにも…!」
「だいたいわかるよ。椿姫の顔見てたらさ」
「………」

そんなにわたしって、わかりやすいのかな。顔見ただけで、わかっちゃうなんて…。

「なに。花火大会で、みんなが上を見上げてる間に触られたとか?」
「は?なにそれ…」
「それが、花火大会のイヤな思い出とかなんじゃないの?」
「……全然、イミわかんない」

確かにみんな上を見上げてるけども…!でもだからって、その間にカラダ触るとか、ただの変態でしょうが!!

「じゃあ、どんなオトコだったわけ」
「……言いたくない。美島には関係ないでしょ」