「椿姫、どこ行くつもり」
「えっ」
わたしが抜け出そうとした時だ。ファンどもに囲まれた美島が、こちらに顔だけ向けてそう言った。
「楓くん!及川さんは、お昼に行くんだってばー!だから、わたしたちが来たんでしょー?ほら、さっさと行きなさいよ」
こわっ…。美島に話す声のトーンと、まったくチガウ…!睨まれるのが恐ろしくて、美島にヘラッと笑って、もう一度抜け出そうとしてみた。
「チガウでしょ。なに、ヘラッと笑ってるの?ぼくがなにも気付かないとでも思ったの」
「え…?」
美島、気付いてたの…?わたしの指、ケガしてること…。あんなにファンどもに囲まれてたのに…?
「いや、あの、たいしたことじゃないから、」
「ぼくが言った言葉、もう忘れたの?」
「こと、ば……?」
〝もし、だけど。なにかあったら、呼びなよ〟
確かに美島には、そう言われた。言われたけど、こんなのどうやって助けを求めればいいのよ。
周りにたくさんファンどもがいて。恐ろしいくらい睨まれてるのに、どうやって美島に助けて!って言えばいいのよ。
「えっ」
わたしが抜け出そうとした時だ。ファンどもに囲まれた美島が、こちらに顔だけ向けてそう言った。
「楓くん!及川さんは、お昼に行くんだってばー!だから、わたしたちが来たんでしょー?ほら、さっさと行きなさいよ」
こわっ…。美島に話す声のトーンと、まったくチガウ…!睨まれるのが恐ろしくて、美島にヘラッと笑って、もう一度抜け出そうとしてみた。
「チガウでしょ。なに、ヘラッと笑ってるの?ぼくがなにも気付かないとでも思ったの」
「え…?」
美島、気付いてたの…?わたしの指、ケガしてること…。あんなにファンどもに囲まれてたのに…?
「いや、あの、たいしたことじゃないから、」
「ぼくが言った言葉、もう忘れたの?」
「こと、ば……?」
〝もし、だけど。なにかあったら、呼びなよ〟
確かに美島には、そう言われた。言われたけど、こんなのどうやって助けを求めればいいのよ。
周りにたくさんファンどもがいて。恐ろしいくらい睨まれてるのに、どうやって美島に助けて!って言えばいいのよ。

