ぼくのことだけ見てなよ

「〝もしかして、ぼくに一目惚れでもしちゃった？〟とか、ぬかしやがった。しかも、わたしなにも言ってないのに〝でも、残念。ぼく、そういうの全部断ってるから〟だって。わたし意味もなく、振られたんだけど」
「そ、それは大変だったね…」

那津は、わたしを見て苦笑いだ。もう、思い出しただけで腹が立ってくる！

「この先、不安だらけだよ…。だって、しばらくはあの席でいくんでしょ？」
「あー、先生言ってたよね…」
「うん…」

そう、HRで担任が言ったんだ。〝しばらくは、この席でいきます〟と…。

お願いだから、先生、お願いだから席替えを希望しますっ！……なんて、言いたくても言えなかった。

「大丈夫！椿姫ちゃんには、わたしがいるから！」
「那津ぅ〜！」

テーブルが邪魔なために、那津に抱きつくことはできない。

その代わり、わたしがテーブルに突っぱねると、那津はわたしの頭を〝よしよし〟としてくれた。

と、その時だった。

「あれ？那津ちゃん？」