ぼくのことだけ見てなよ

***

そんな学祭は、あっという間に本番を迎えた。ダンスやお化け屋敷、唐揚げにフライドポテト。

タロット占いや、劇に歌。そのクラスによって出しものは全然チガって、その中でわたしたちはたこ焼きを作っていた。

「ね、美島っ。無理っ、わたしできないやっぱ!」
「大丈夫だってば。コツさえ掴めばサルでもできるよ」
「……っ、」

サルって!ひどすぎるっ…。今わたしは美島に、たこ焼きの返し方を教えてもらっている。

事前に練習したいと言ったのに、美島がカンタンだって言うから、ぶっつけ本番でやることにしたのに。

全然、カンタンじゃないじゃない!ブツブツ文句を言いながらも、美島の手の動きを見て自分の手を動かした。

「2パック注文入ったぞー」
「はいはい」

松井が振り返り、わたしたちに向け言うと、美島がダルそうに返事をした。

実は、続きがあって。販売係も決めなきゃいけなくて、それに立候補したのが松井だった。

そして、それに巻き込まれたのが、お金の管理をしている那津だ。と言っても、3人がコッチ側の人間になったら那津だってコッチ側に行きたくなるのは当然なわけで、那津も自ら立候補をしたらしい。