ぼくのことだけ見てなよ

「美島、お金」
「いいよ、べつに」
「よくないよ、ちゃんと払うから」
「ん、じゃあ。ひとつ分ちょうだい。ぼくも食べるんだし」
「……うん」

ホントに美島、食べるんだ…。って、わたしふたつも食べれないから、食べてくれなきゃ困るんだけど。

「ブルーベリーレアチーズケーキとティラミスのお客様」
「はーい」

カワイイ制服を着たお姉さんが、ふたつクレープを持って返事をした美島に手渡す。

美島が「ありがとう」と、笑うと相手のお姉さんが「い、いえ…」と、恥ずかしそうにしていた。

美島はやっぱり世間一般では、イケメンの部類に入るらしい。

「はい、及川。どっちから先に食べたいの?」
「えっ、えーと…。ブルーベリーのほうがいいかな」
「ん、はい」
「あ、ありがと…」

その間に、那津と松井のクレープもできて、美島以外の3人で一口ずつ食べた。

「んー、やっぱチョコバナナだよなぁ!」
「ストロベリーも美味しいよっ」
「ブルーベリーも美味しい!美島、食べる?」
「ううん、ぼくは及川の残ったやつだけでいいから好きなだけ食べなよ」
「あ、じゃあ!俺のチョコバナナ食えよ、ほら!」
「いらない」
「なっ…!お前なぁ…」

美島って、ハッキリしてるよね。いらないものは、いらない!って言っちゃうんだから。ちょっと松井が、かわいそうだけど横目で見ながらクレープを食べた。