ぼくのことだけ見てなよ

「ねぇ、美島」
「なに」
「クレープ食べに行かない?」
「うん、いいよ」
「え」
「え?」

なに、なんなのこの子。自分から誘ってきたくせに、なんでそんなに驚くの。

「ぼく、おかしなこと言った?」
「いや、だって、わたしの誘いは受けるから…」
「あー、そういうこと。じゃあ、クレープ食べに行くのはウソ?」
「ううん、食べたいけど…」
「じゃあ、行こう」

ちょうどチャイムが鳴って、担任が教室に入ってくる。HRをカンタンに終わらせると担任は教室から出て行った。

「で、どうするの?」
「えっ、なにが…?」
「クレープ。みんなで行くの?それとも二人で行くの?」
「ふっ!?いや、そこはさ、みんなで行こうよ…!」
「ふ〜ん。そっ」

どうしてぼくは今、おもしろくないな…なんて思ったのかな。及川と二人で行きたかった?いや、そんなことはないはず。

いつもギャーギャー騒いで、うるさくて、ぼくの顔見るたびにイヤな顔全面に出してきて。

暴力は振るうし、女の子らしいとこなんか一つもない。でも、他の女の子とはチガウ。

鈴井さんもそうだけど、あの子たちとはチガって、普通に話してくれる。

普通に他のオトコ連中と一緒の扱いをしてくれる。だからぼくは、この4人でいる時が落ち着くのかもしれない。

***