ぼくのことだけ見てなよ

*楓side*

二日目のテストも無事終わった。となりにいる及川も順調に問題を解けたらしく、今は抜け殻のようになってる。

「楓くぅん、このあとなにも用事なかったら、」
「あー、ごめんね。今日は用事あるんだ」
「そっかぁ…」
「うん、ごめんね?」
「ううん、いいの!大丈夫!じゃあ、バイバイ」
「うん、バイバイ」

もうこれで何人目だろう。よくもめげずに誘えるよね。どうして、ぼくなんだろう。

「美島」
「ん?」

となりから声がして及川を見れば、ぐでぇ〜と頬を机にベッタリつけながら、ぼくを見てた。

「なんで断っちゃうの?」
「は?」
「だから、なんで美島のファンからの誘い断っちゃうの?」
「ファンって…。んー、どうしてかな。あの子たちは逆に、どうしてぼくなんかを誘うんだろうね?」

すると、ぐでぇ〜としてた及川が、ムクっと起き上がった。

「美島のこと好きだからでしょ?」
「本気で?」
「じゃないの?」
「そうかな。ぼくには伝わってこないけど、その〝本気〟がさ」
「そう…?」
「そうだよ。ただ〝ぼく〟というブランドが、となりにいてほしいだけ」
「ブランドって…!」

及川は、目を丸くして驚いた。ブランドは言い過ぎかもしれないけど、でもあの子たちが本気でぼくのことを好きだとは思えないんだ。

みんなより、ちょっとだけ頭がよくて、みんなより、ちょっとだけ顔がいいだけ。自分がイケメンだなんて思わないけど、小さい時から言われてきたから〝あぁ、そうなんだ〟って、思うようになった。