ぼくのことだけ見てなよ

「消毒してっ」
「へっ!?」
「あー、那津いい匂い」
「くすぐったいよぉ、椿姫ちゃんっ」

美島の温もりを少しでも忘れようと、那津に抱きついて消毒消毒。

那津は驚いてたけど、そんなことはお構いなく甘い香りのする那津に、しばらく抱きついてた。

「相変わらず、二人って仲良いよねー」

そんなわたしたちの間に入ってきたのは、またしても松井だ。ホント、邪魔ばっかりしやがって!消えてまえ!

「こわっ!そこまで睨むなよ!」
「………」
「二人抱きついてるのもいいけどさぁ、明日もテストあるのわかってる?」
「………」
「おい、無視かよ!」
「松井ってさぁ」

わたしは那津から離れて、松井と向き合った。

「な、なんだよ」
「うるさいよね」
「は、はぁっ!?」
「ぷっ」
「おい、笑うなよ!楓!」
「だってホントのことだし」
「んだとっ!?」

いつからいたのか、わたしのうしろには美島がいて、わたしの言葉で吹き出したらしく、松井はまた吠えた。

「那津、勉強しに行こっ!」
「あ、うん!」