ぼくのことだけ見てなよ

ダメだ、話になんないよ…。どうせ、離せと言ったって離してはくれないんだ。

それなら気の済むまま、今だけガマンすればいいんだ、とただおとなしく待った。

「あれ、おとなしくなったね」
「あとちょっとガマンすれば、解放されるから」
「ガマン、って…」

上から乾いた笑い声が聞こえる。そしてそれは、すぐに解放された。

「うわぁ、すぐに距離取ったねぇ」
「当たり前でしょ!?」
「そんなにイヤだったんだ?」
「そりゃあ…!」
「ホントに?」
「ホントよ!」

どうしてこんなことされなきゃいけないのよ!彼女でもなんでもないのに。

「もう、いいでしょ。那津んとこ戻る」

美島の返事を聞かないまま、廊下へ出ると、そのまま那津の元まで走った。

「那津っ!!」
「わっ…!!椿姫ちゃん!?」

そして那津の姿を見つけると、そのまま那津のカラダにギュッと抱きついた。