ぼくのことだけ見てなよ

あれからわたしたちは少しだけ勉強をすると、帰宅することにした。

「ただいま」
「お帰り、椿姫!」
「椿姫お姉さま!でしょ?」
「はぁ?椿姫は、椿姫だろ!」
「……あっそ」

家に帰ると、出迎えてくれたのは弟の淳平(じゅんぺい)だ。淳平は、姉のわたしを〝椿姫〟と呼び捨てにする。

ホント、かわいくない弟だ。淳平は現在中学2年生で、来年は受験生だ。

「なぁ、椿姫。腹減ったぁ」
「……はいはい、今作るから」

帰ってきて早々、休むヒマもなくごはん支度に取りかかる。今日は親子丼にしようと思ってたんだよねぇ。

先にお米をといでスイッチを押す。次に玉ねぎを薄く切って炒める。その間にお酒に浸けておいた鶏肉を冷蔵庫から取り出し、一口サイズにカットする。

玉ねぎがしんなりしてきたら、鶏肉を入れて、大雑把なわたしは、すき焼きのタレを入れて味付けをする。

蓋をして少し煮込み、いい感じになったら卵でとじて、出来上がり。

「よし、できた」
「お!もう食える?」
「待って、お味噌汁作るから」
「えー。早くしろよなー」
「なに?わたしの聞き間違いかなぁ?」
「いっ、いや!オレ、なんも言ってねぇし!!」
「ったく…」