ぼくのことだけ見てなよ

一応わたし、女性なんだけどなぁ。まあ、いいか。那津に言われるなら。

「くくっ、男前って…!」
「みーしーまー?あ、美島もゲンコツ落とされたいのか」
「いや、今のはチガウって」
「は?なにがチガウの?笑ったじゃん!」
「笑ってないよ。気のせいだって」

さっきのドキドキ返してよ!こんなヤツに心臓バクバクさせてたなんて、心臓がかわいそうだ。

「これは、わかる?」
「……う〜ん」
「ほら、さっきやったでしょ?これと同じだよ」
「あ、そっか」

でもさっきとは明らかにチガウ、美島の教え方。その美島の様子に、やっぱり食いついたのがこのオトコだ。

「なになに、楓!急に優しくなっちゃって!」
「べつに、普通でしょ」
「いんや、チガウね!あ、さてはさっきお前もトイレに立った時、椿姫ちゃんとなんかあったろ!」
「……っ!!」

反応したのは、もちろんわたしのほうで。美島は、全然ツラッと涼しい顔をしていた。

「ぼくもトイレ行っただけだし」
「えー?ホントかなぁ?椿姫ちゃん、コイツになんもされなかった?」
「えっ!?(もう!わたしに振らないでよ!)なんもされてないよ…」
「えー。なんか怪しいんだよなぁ。さっきまでギャーギャー言ってた椿姫ちゃんが素直になってるしー」
「う、うるさいな!わたしだって、いつもギャーギャー言わないし!!」

ったく、もう。わたしのこと、なんだと思ってんのよ!……確かに、さっきはギャーギャー言っちゃったけどさ。

「楓に、キスでもされた?」
「っ、げほっ、げほっ…!」
「あれ?当たった?」
「そんなこと、されてない」
「楓、してないの?」
「さぁ、どうだったかな」
「なっ…!!」