5月は、中間テストがすぐにやってくる。勉強が苦手なわたしにとって、テストは地獄…。

「那津ぅ、ごめんね…」
「ううん、いいよー!でもわたし今日掃除だから、待っててもらってもいいかなぁ?」
「それはもちろん!待ちますとも!」

テストが近いということもあり、頭のいい那津に教えてもらうことになったのだ。

放課後、教室の掃除がはじまる。今日は那津が掃除当番だから、わたしは廊下で待つことにした。

大きめのハンカチを広げて、廊下に敷き、そこに座る。教科書とノートとペンを出して、あとは得意の睨めっこだ。

「なにしてんの」
「…げっ、美島」

突然、わたしの前にドカッと座った人影に視線を移すと、目の前には美島がいた。

「あのさ。その〝げっ〟て言うのやめない?すごく傷付くんですけど」
「え、美島も傷付くの?」
「あのね…。ぼくのこと、なんだと思ってるの」
「ただ顔がいいだけのイケメン」
「………」
「あ、性格はサイテーだけど」
「……あっそ」

なに、なんで今変な間があったの。顔はイケメンって言ってやったじゃん。性格はサイテーって、言っちゃったけどさ。

「で。こんな廊下で、なにしてんの」
「見ればわかるでしょ?勉強よ、勉強!」
「廊下で?」
「那津を待ってるの!那津、今日掃除だから!」
「あぁ、そういうことね」