ぼくのことだけ見てなよ

「楓くんっ、こんな子のとなりにいたら、いつか死んじゃうよ!もし、よかったら楓くんが選んで?楓くんが決めた子なら、わたしたち誰も文句言わないから!」

うぉい!〝いつか死ぬ〟って!ひどくない!?ねぇ、ひどくない!?

でも、これでコイツとはオサラバじゃ!くくくっ、と腹ん中で笑っていると。

「んじゃあ、この子にしようかなぁ?」
「は?」

美島がグイッと肩を抱き寄せたのは、なぜかわたしで…。

「ちょ、イミわかんないから!つーか、気安く触んな!!」
「えー?だって、ぼくが決めていいって言ったでしょ?だから、決めただけだけど?なにか問題でも?」
「問題アリアリでしょうが!!なんで、わたしなのよ!!ほら、みんなも納得してないじゃない!」

見れば、美島の周りにいた女子たちはみんな顰めっ面をしてて、他の生徒たちは野次馬見学っぽく、どうなるのかを見守ってる感じだった。

「そうなの?みんな納得してないの?〝楓くんが決めた子なら、わたしたち誰も文句言わないから!〟って言ってたくせに?及川は、どうしてダメなのかなぁ?」

げっ…なんかコイツ怖いくらい笑ってんだけど…。

ニコニコの笑いじゃなくて、もっと企みのある笑い…。