「淳平っ」
「姉ちゃんっ」

なんと咲希ちゃんのうしろには、我が弟…淳平がいて、お互い驚くことしかできないでいた。

「咲希?どういうこと?」
「どういうこともなにも、わたしたち付き合ってるから」
「え、ちょ、待って、咲希!」
「淳平は黙ってて!」
「…あぁ、うん」

えぇっ?なに?なにが起こってるのっ!?楓はビミョーにキレてるし、咲希ちゃんも怒ってる(?)し、淳平は顔引きつってるし…。

「お兄ちゃん、椿姫さんと付き合ってるんでしょ?」
「うん、そうだけど」
「だったら、わたしだってイイでしょ」
「それとこれとは、別問題」
「なんでよ!!バカお兄!!」
「ちょ、咲希。落ち着けって」
「なによ、淳平!淳平だって堂々と付き合いたいでしょ?」
「いや、まぁ、そうだけど…」
「椿姫さんだって、わたしたちの交際は認めてくれてるんだから、お兄ちゃんだって、」
「咲希!それ、シッ!」
「えっ?あ…」

咲希ちゃん…興奮して言っちゃったよ…。わたしが2人の付き合い知ってるの…。

淳平がすぐ止めてくれたけど、さすがにもう手遅れ…。苦笑いで楓を見ると、ほら、もう企んだいやらしい笑い方してる…。

「へぇ〜。椿姫、知ってたんだぁ?」
「えーと、まぁ…ね」
「いつから〜?」
「えーと…。修学旅行、前から?」
「ふぅん。そんな前から知ってたワケだぁ?」
「いや、楓。ちょっと、話そう?ねっ?」
「話す?なにを?」
「いや、経緯(いきさつ)とか!」
「そんなの、どうでもいいから。それより、黙ってた椿姫にお仕置きしないとね?」
「えっ!?」

ヤダ、怖い!楓がお仕置きって言うと、とんでもないものが出てきそうなんだもん!!

「じゃあ、さっきの続きしてもらおうかな」
「へっ?つ、続きって…?」
「なぁに、忘れちゃったの?かわい〜く、キスのおねだりしてみようね?」
「そっ、そんなの無理に決まって、」
「おねだりの仕方、忘れちゃったの?」
「も、もう!楓!」
「言うまで帰さないよ?」
「〜〜〜っ!」

悪魔だ、このオトコは悪魔でドSだ!ドS悪魔!!弟の前で言うとか、羞恥以外のなにものでもないでしょうよ!

「ほら、ごはん支度しないといけないんでしょ?」
「……言ったら、2人の交際認めんの?」
「うん、認める」
「……楓」
「うん?」
「キス、して……?」
「カワイイ、椿姫。よく、弟いる前で言ったね?」
「ッ、アンタが言わせたんでしょうよ!!」
「ふふっ、はいはい。怒らないの。椿姫は、笑ってる時がイチバン、カワイイよ」
「……調子いいんだから」

お父さんと先輩のせいで、男の人がキライになった。でも、それを全部跳ね除けてくれた楓は、わたしの大切な…大好きな自慢の彼氏です!(ドS悪魔だけど…)

*おわり*