ぼくのことだけ見てなよ

食べ終わると、美島が店員さんを呼んで食器類を片付けてもらい、温かいお茶を注文した。すぐに、お茶を持ってきてくれて、ここから真剣な話をするんだ、と思ったら、また心臓がバクバクと鳴りだした。

「椿姫」
「あ、はいっ」
「くくっ、そんなビクビクしないでよ。ぼく、なんか取り調べするみたいじゃん」
「あ……ゴメン」

だって、しょうがないじゃない。なにから、まず言われるのか内心ビクビクしてるんだからっ。

「ねぇ、椿姫。ぼくが言ったこと、怒ってる…?」
「え、美島が言ったこと…?」
「うん、サイテーって言ったこと」
「あ…。アレ、ね。怒ってはいないよ。ただ、イヤだなって思っただけだから」
「そっか…。でも傷付けたのは事実だから、もっかい謝らせて。ホントにごめんね」
「……うん、もういいよ。美島の思いは伝わったから」
「…ありがとう」

ふわりと笑った美島は、優しくて、またわたしの心臓をかき乱す。もう、自分の気持ちがわからないよ…。

「椿姫…」
「…うん」
「ぼくさ、余裕に見えてたかもだけど、ホントは椿姫がぼくのこと好きになってくれるか、不安なんだよ」
「………」
「イヤな聞き方かもしれないけど。ぼく頑張ったら、椿姫のココロ。モノにできるのかな…」

期待させないほうがいい。わかってる。わかってるのに、どうしてこんなに、美島の言葉を聞くとドキッとしちゃうんだろう…。

でもちゃんと断るにしても、理由がなきゃ納得しないよね。わたしのココロの中を、さらけ出したら美島は、どう思うのかな…。

「椿姫、言って?」
「え…」
「今、ぼくに何か言おうか悩んでたでしょ」
「な、んで…」
「椿姫は単純だから、わかりやすいんだよ」
「なっ…!」