ぼくのことだけ見てなよ

「あー、疲れた…」
「椿姫ちゃん、ごめんねぇ…。わたしのせいで…」
「いや、もうアレは美島ひとりのせいだから。那津は悪くないから気にしないで…」

あれから、わたしたちは一緒に店を出た。けど、わたしは那津の手を引っ張り、やっと那津と二人になれたのだ。

那津は、そう謝るけど、これはもう美島のせいだ。

全部美島のせいにしてしまおう！そうすれば、誰も悪くなくなる。

「明日から大丈夫？椿姫ちゃん…」
「うっ…！」

そうだ、そうだよ…。明日からあの席で授業受けるんだった…。

「那津、お願い！席、あ…ダメだ。那津のとなりも美島の手下だったんだ…」
「手下って…」

ふふ、と那津は笑う。笑いごとじゃないのに！

「まぁ、美島のことはいないものとして生活するよ」
「う、うん。そうだね、椿姫ちゃんなら、できそう！」

うん、わたしならできる。あんなヤツいないものとして、生活すればなんの支障もない。