ぼくのことだけ見てなよ

「はいはい、どうせこうなると思ってましたよー。那津ちゃん、ごめんな?俺なんかがとなりでさ。ガマンできるか?」
「えっ?そ、そんなガマンだなんて。わたしはどこでも大丈夫だから…」

やっぱり、那津は松井のこと好きになったんじゃ…。いつもは松井のこと、ハラリと交わしてたのに、なんかモジモジしてるというか…。

そして、斜め前にいる松井をチラリと盗み見る。あ、松井ってあんな風にクシャっとさせて笑うんだ…。

ちゃんと意識して見たことがなかったから、なんだかすごく新鮮な感じがした。

「椿姫」
「えっ?な、なに…?」
「ぼくのことだけ見てよ」
「な、なによ急に」
「……なんか、ムカつく」
「え?」

ちょ、なんでそんな不機嫌になってんの!べつにわたし、変な行動取ってないよねっ!?松井のことはチラ見したけど、べつに見つめてとかはないし…。

「ほら、椿姫ちゃんも楓も置いてくぞー」
「あ、待って!ほら、美島。行くよ?」
「………うん」

松井と那津は少し前を歩いていて、松井に呼ばれ美島に声をかけると不貞腐れた顔で返事をし、2人のあとを追った。

沖縄の水族館には、ウミガメやマナティーがいたりして。他にもサンゴの海とか、深海の生き物がいたりして。

さっきまで不貞腐れてた美島も、わたしが「すごいね!はじめて見るね!」と、声をかけるとクスッと笑い、いつの間にか機嫌も直っていた。