ぼくのことだけ見てなよ

その日はホテルのごはんを食べることに。ごはんは、すべてバイキングで。テレビでしか見たことのない沖縄料理が並んでいた。

「本場のゴーヤチャンプルー、食べてみたかったんだぁ」
「わたしは、ラフテーって呼ばれてる角煮食べたかったの」
「なぁなぁ、海ぶどうあったぞ!」
「ぼくはね、にんじんしりしり持ってきた」

4人で、一品だけ持ってきて、それを4人で食べようってことになった。被ったら最悪だけど、最初だしね。まだ被ることはない。

これを2巡目、3巡目と繰り返していった。みんなの息がピッタリだったのか、誰とも被ることなく、でもそのうちに、わたしと那津はお腹いっぱいになりリタイア。

そして、どれぐらい目だろうか。最後の最後で、モノが被るというオチ……。しかもサーターアンダギーを、ふたつずつ。

「ちょ、無理!さすがに、こんな大きいのふたつも食べれない!」
「だね…ぼくも無理かな」
「ダメだよー、ちゃんと食べないと!」
「うんうん。持ってきたモノは食べないと」
「誰も食わないとは言ってねぇだろ?」
「そうそう。椿姫と鈴井さんも食べるんだよ」
「はぁっ!?わたしたちは、もうとっくにリタイアしたでしょうが!」
「もう、食べれないよ……」

自分たちが食べれないからって、わたしと那津に押し付けてくるなんて!サイテーすぎる。オトコとして情けない!

なんて、自分たちも食べたくないから那津と2人で、散々言ったんだけど(まぁ、主にわたしが言ったんだけど……)聞き入れてもらえず…。

「なんで、わたしたちまで食べなきゃいけないのよ」
「お腹いっぱい……」
「いや、悪かったって!ホント、マジで悪いと思ってっから!」
「うん。思ってるから、食べてよ」

なんだ美島の態度は!と、思ったけど。那津と顔を見合わせ、仕方なく食べるつもりが思いのほかサーターアンダギーが美味しすぎて、パクパク食べてしまった。