「椿姫、大丈夫。ぼくが勉強教えてあげるからね?」
「……それはどうも」
「それと、無理して落ちなくていいから」
「え……」
「無理なんてしなくても、椿姫はぼくのこと好きにさせるから」
「あー、そういうことね……」

ホント美島って、変なヤツ…。今まで出会ったことないかも。こんなオットリしゃべりながら、攻めてくるヤツとか…。

「椿姫ちゃん、頑張れよ。独占欲強いけど、すげぇ強いけど、いいヤツなのは俺が保証すっから」
「強すぎだよ……」
「美島くん、椿姫ちゃんのこと諦めないでね!わたしも応援するから!」
「ちょ、那津っ!?」
「うん、ありがとう。なにか困ったら鈴井さんに助け求めるよ。椿姫、鈴井さんに弱いっぽいし」
「………」

それは困る…。那津が美島の味方になったら、わたし完全孤立しちゃう…。なんか急に目眩してきたよ…。

「そういえば、修学旅行って沖縄だよなぁ?」
「うんうん、ウチの学校は毎年沖縄なんだよねっ」
「椿姫は水着、もう買ったの?」
「は?買わないし、着ない」
「そう」
「……なんで、嬉しそうなのよ」
「んー?だって、他の男子に見られなくて済むでしょ?だから買わないでね、着ないでね?」
「………」

買っちゃおうかな、着ちゃおうかな。なんて、思ったのは、わたしだけのヒミツ。でも、那津との帰宅途中。

「ねぇ、椿姫ちゃん」
「うん?」
「わたし、椿姫ちゃんと海で遊びたいよ…?」
「那津…」
「水着、買わないの…?」
「……わかったわよ。買うから!だから、そんな子犬みたいな目で見ないで!」

結局、那津に流されてホントに買うハメになってしまった水着…。イヤだ!と言ってるのに、ビキニを試着させられ、そのままお買い上げ。

黒に白の水玉がプリントされていて、胸の前でキュッと縛る形になっていて。店員さんいわく、胸が大きいから似合うと…。

そんなに大きくはないんだけど、似合うと言われたら、その気になっちゃうんだよねぇ…。