ホントに、あれから美島ファンたちに、なにかをされたり、なにかを言われたり、冷たい目で見られることがなくなった。

多分、あの5人が広めたから。そしてそれは、先輩たちの耳にも入ったようで、松井の話によれば美島に話しかける女子はいなくなったとか。

「俺だったら、耐えらんねぇ〜!!」って、松井は言ってたけど、美島はどう思ってるんだろう…。

「椿姫ちゃん、もうすぐ修学旅行だねっ!」
「あー、そういえば…」
「えぇっ。忘れてたの?」
「うーん、忘れてたっていうか、2年になってから、なんだかあっという間に時間が過ぎるのが早いっていうか…。だからもう修学旅行の時期なんだなぁ、って」

なんか美島と関わってたら、あっという間に過ぎてくよね、ホント…。

「なーんか、ばぁちゃんみてぇなこと言うな、椿姫ちゃん」
「はぁっ!?誰が、ババァよ!!」
「ババァなんて言ってないだろ、ばぁちゃんだ!」
「ババァも、ばぁちゃんも一緒じゃない!」
「チガウ!」
「チガわない!」

ったく、誰が〝ババァ〟よ!まったく、松井のヤツときたら!最近は、もっぱら松井との言い合いが多くなった。……というのも。

「なぁ、楓。お前、気持ち悪りぃんだよ!」
「ん、なにが」
「なにが、じゃねぇって!椿姫ちゃんのこと、ニヤニヤしながら見やがって」
「孝宏、ニヤニヤじゃない。ニコニコしながら見てるの。ニヤニヤだと、ぼく変態じゃない」
「ニヤニヤもニコニコも一緒なんだよ、バカタレ!」
「椿姫、孝宏がイジメる。授業サボって屋上行こう?」
「はぁ…。あのね、わたしはアンタとはチガって勉強しないと、単位取れないの。だからサボりはムリ」
「でも授業中、こうやってみんなで喋ってたら意味なくない?」
「……うっ、」

それはごもっとも!だけど、授業サボるまでは、できないんだー!!

あ、そうそう。ご覧の通り、美島が完全わたしに対する態度が変わったんです…。