12年前の夏、俺達は家族付き合いで旅行に行った。
宮野家の別荘に行くため、一度本宅に集合した。
それが、俺と奈桜が初めて会った時だった。
その頃の俺は人見知りが激しくて、知らない人がいるといつも母さんの後ろに隠れていた。
だから、その時もそうしようとしたんだ。
だけど・・・
「あなた、キレイなおカオね!おなまえは?私はこうづき なお!よろしくね?」
と、奈桜は自分の方が何倍もキレイな顔立ちしているのに、無自覚なのか俺にそう言ってきた。
それもカワイイ笑顔で。
俺はきっとこの時に奈桜に惚れたのかもしれない。
「お、オレはみやの かずま!よ、よろしくな!」
まあ、ドモっちまったのは、しょうがないよな。うん。
その後矢尋と千紗(かずさ)の2人とも挨拶はした。
でも、やっぱり目が追うのは奈桜だった。


