Side 和真


「あら?奈桜寝ちゃったみたい。」


と、奈桜をずっと抱きしめていた和佐が、どうする?という意味も込めて俺達の方を見た。


「とりあえず、今日はこのままサボるか。俺は飯買ってくるな。何が良い?」

「私はサンドイッチで良いわ。」

「俺も何かパン。」

「了解ー」


屋上から去る矢尋の姿を見ながら、コイツ使えるなと確信した。


「バカ。アイツは心配りできるヤツなのよ。」


どうやら口に出してしまっていたらしい。


「それにしても、やっぱり奈桜は美人になったね・・・。」

「そうだな。」


思い出すのは、小さい頃に一度だけ奈桜と矢尋と和佐と遊んだ時の事だ。


奈桜は俺の事覚えていなかったが、俺は奈桜の事を忘れる事は無かった。


そう。あれは俺達がまだ5才の時だった。