Side 和佐


「まず、私の隣にいるコイツは宮野和真。

それでね、代々、藤野家は宮野家に仕えている家なんだ。

だから、私はこの和真に仕えてるって事になる。」

「あれ?でも、和佐ってお兄ちゃんいたよね?

それに〈和佐〉って〈千紗〉の漢字じゃなかった?」


やっぱり、奈桜は漢字の事気づいてたんだ・・・


「そう。私が12歳の時に兄(和己)が20歳だったんだ。

・・・だけど、『何で自分より年下のヤツに仕えなきゃいけねーんだ!』って言い出して、家出しちゃったんだ・・・。」

「え!?家出!?」

「うん・・・。

そんで父さん達も怒っちゃって、丁度和真と年が同じだった私を跡継ぎにするって言い出して・・・。
私としては、仕方ないとしか思えなかったんだ。

そりゃ8歳も空いてりゃ無理があるって。」

「ほーう。」

「それで、私が跡継ぎになると決定してから、主従関係の証として〈和佐〉の漢字を宮野家から賜ったの。」

「そうだったんだ。あの時はいきなりだったし、多分説明されてもわからなかったと思う…。」

「まあね。それにまだ極秘だったから言えなかったしね。」

「それで?その格好してるの?」

「一応世間的には男として思われてた方が有利だし、この格好してれば和真を護りやすいんだ。」

「ほえー。でも、カッコイイねぇー。」

「ありがと。まあ、女って明かしても良いんだけどさ、それが宮野家の弱味になるのは嫌だったんだ。」


うん。我ながら本当に宮野家に尽くしてると思うよ。


あれから5年か。


長かったようで、短かったなー。