「ほら。意地張ってねぇでこっち来い。」
矢尋はそう言うと私を抱き寄せた。
付き合ってる訳じゃない。
矢尋は幼なじみで私が泣くといつもこうして抱きしめてくれる。
トン、トンと心地良いリズムで背中を叩いてくれたおかげで気分も落ち着いてきた。
「それで?何があったんだ?」
矢尋の優しい声に促されるように、昨日の事を話した。
「さっき矢尋が言ってた通り匡達は龍也に反抗した。けど、それなら龍玄を辞めさせるまでだなって龍也が言ったんだ。
・・・だったら、私が退こうって思ったの。」
「そうか。」
「今日学校に来たら、もう話は広がってたから、私は一緒にいさせてもらえても迷惑な存在になっちゃうし、匡達を辞めさせたくなかったから私は突っぱねたんだ・・・。」
「なるほどな。
大体は理解できたが、龍也の考えがわからねぇな。
・・・そこがわかれば一番良いんだけどよ。」
「しょうがないよ。龍也はずっとそうだったじゃん。」
「まあな。」
そう、龍也はいつも無関心で無口で何を考えてるのか全くわからない人間だ。
今回の事は龍也の動機がわからない限り無闇には動けないのだ。
でも、私にはもう関係の無い事だから矢尋とも離れなくちゃね・・・。
そう思い矢尋から体を離そうと動いたら、不意に矢尋の腕に力が入り、私は動けなくなった。


