僕はハッとした





彼女が

蝶子さんが

―――笑って…いる……





クスクスと可笑しそうに

口元に右手を添えて

笑っていた





笑っている…

蝶子さんは…笑うんだ…




「……何よ?」


「…あ
すみません…つい

蝶子さんって笑うんですね
初めて見ました」


「初めて見るのは当たり前でしょ

アンタと会って時間なんて
そう経っていないんだから」


「そうですね……」





蝶子さんに頷きを返しながら

僕はふいに泣きそうになった