あたしたちは並んでホテルを出る

パッと見

ホテルで一夜を過ごしたカップルに見えるかも





「アンタ
ちょっと後ろに下がりなさいよ」


「え?
どうしてですか」


「恋人同士に見られると困るのよ」


「わかりました」




クイッと1歩ほど後ろに下がる彼




「そういえばアンタ
名前聞いていなかったわよね?」




あたしに

自分を殺してほしいと言った彼

名前ぐらい聞いておいた方が良いかもしれないわね




「アナタはなんていう名前なんですか?」



首を少し右方向へ傾げる彼




「あたしも
言わないと駄目なのかしら?」


「ええ
僕にとっての
冥途の土産ってことで」