誰にも会うことなく

ホテルの部屋へと帰る




「……ハァ」




良かった

やっとこれで死ねる




どんな状態で発見されるのだろうか?

あんまり痛くない殺し方が良いな

…まぁあまり注文は言えないだろうから

彼女に任せるか




にしても僕は幸運の持ち主らしい

アッサリ見つけようと思っていた

連続殺人鬼を発見出来るなんて




きっと一生分の運を使い果たしたな

でも使い果たしても良いんだ

僕は明日になったら

この世から消えるのだから



灰色パーカーの袖に隠れていた

左手首を見る



今日の朝切ったばかりの傷

血がまだ滲んでいる

何本にも木目のように走る切り傷