『はぁ!?
何で俺が母さんや杏璃のために
金を使わねぇと駄目なんだよ!』
『家族だろ!?』
『チッ
じゃあ良いよ
俺この家出て行くから』
『兄さん!?』
『俺のこと羨ましがる暇があったら
お前は大事な家族のために金を使えば?
俺は家族のために一生を捧げるほど
でかい奴じゃないんでね』
僕は知っている
普段話さない母さんが
夜中帰って来ていない兄さんのことを
呼んでいることを
知っているんだ
母さんは僕が嫌いだって
僕のこの目を嫌っているって
『お兄ちゃんがそんな目になったのは
お兄ちゃんのせいじゃないよ
お兄ちゃん頑張ってよ
私も頑張るから
早く良くなってお兄ちゃんのこと
支えられるようになるから
お願いお兄ちゃん
私から離れないで
私を見捨てないで―――』
僕の目を最初から受け止めてくれたのは
杏璃だけだった
杏璃だけが
僕を信じてくれていた


