「チョコっ!」
ユウに呼ばれ振り返る
かつて付き合っていた頃
何度も呼ばれたあだ名
チョコレートが好きなあたしは
嬉しかったのを覚えている
「…ごめんチョコ
チョコが苦しんでいると思わなかった
俺あの頃
必死だったんだ
父さんは借金だけ残して蒸発して
母さんは体弱くて働けなくて
杏璃も病気になって
アイツは…ユイは
バイトして一生懸命
母さんと妹を支えようとしていた
だけど俺は
バイトする気なんて一切なかった
ユイに任せていれば良いって思っていたんだ
でも内心は家族のために頑張れる
ユイが羨ましかった
バイト先であの顔で気味悪がられても
必死に言われたことをこなしていくユイが
ユイに追いついて追い越したかった
高校で老舗旅館の娘のチョコに会って
金を盗もうと決意して近づいた
だけど盗めなかった
あの時俺はチョコを裏切ったけど
チョコのことが次第に好きになっていたんだ
チョコやおじさん・おばさんを哀しませたくなかった
だから金を盗まないで俺は誰にも言わないで消えた
悪かった…チョコ
俺あの時自分しか考えられなくて
裏切って…本当に…ごめん……」
ユウは言いながら泣いていた
よく見ると泣き方が変わっていた
ユウが泣く姿を見るのは初めてだったから
今まで気が付かなかったけど


