「チョコ久しぶりだなぁ
あの日以来じゃね?」



馴れ馴れしく

蝶子さんの肩に手を置く兄さん




「……離れてくださいユウ」



杏璃が鋭い声を出した

杏璃は自分と母親を捨てた兄さんを嫌っている

僕のことはお兄ちゃんと呼ぶくせに

兄さんのことをお兄ちゃんと呼ぶのは見たことがないかもしれない



…あ

さっき言っていたな

でもあれは

ユウお兄ちゃんと呼んだ方が

蝶子さんに説明しやすいと感じたからだろう

普段は何があっても絶対に言っていない




「おいおい杏璃…
久々に見舞いに来てやったお兄様に向かって
その言い草はなんだ?ん?

てか思ったより元気そうだな
見舞いに来なくても良かったかも

発作が来て危険な状態だって
看護師から電話もらって来てみたら
何しに来た発言かよ

あーあ
来なければ良かったな」



杏璃の顔が見る見るうちに歪んでいく

僕は杏璃と兄さんの間に立った