峯君は、転校生です。
高校2年の6月から、峯君は知らない田舎の高校から転校してきた。
朝のHRの時間に、担任のおじいちゃん先生が転校生の存在を皆に伝えて、確かその次の日。
「じゃあ、昨日言った転校生を紹介するから…。」
「なんか男子って聞いたよ?イケメンかなぁ?」
「イケメンだったらどうする!?うち今日あんま髪型キマってないんだけど!」
皆(主に女子) は転校生にそれなりの期待していた。
そんな中、入ってきたのが峯君だった。
「うわ…普通にカッコ良くない?」
「やばい私めっちゃタイプ。」
最初の反応は上々。
クラスの雰囲気は一気に明るくなる。
その反応に、私はちょっとガッカリした覚えがある。
普通にモテるんだろうなぁこの人。
これが、私の峯君への第一印象。
「じゃあ、クラスの皆にちょっと軽く自己紹介してもらっていいかな?」
だけど峯君は次の瞬間に、自分のイメージをいとも容易く変える。
峯君はクラスの皆を冷たい視線で見渡して、ため息をはいた。
「……先生、俺このクラス無理。」
「…はい?」
峯君が最初に言った言葉は、コレだった。
この言葉でクラスが一気に静まる。
聞き返してきたおじいちゃん先生に峯君はまたダルそうに言う。
「だから、無理。このクラス嫌だ。」
突然の峯君のワガママにおじいちゃん先生はオロオロし始めた。
「あー…えっと、峯。お前のクラスはここって職員会議で決定したから…」
「なに、変えれないの?」
「あぁ。そうだ。ま、まぁすぐクラスには慣れるだろう。」
「まじかよ。最悪……」
焦るおじいちゃん先生に、クラスもざわつき始める。
「え?嫌ってなんで?」
「つか…なんかうちらの事睨んでたんだけど…」
ざわつく教室の黒板の前で、峯君はダルそうに立った。
「………峯、亮介。よろしく。」
とてつもなく無愛想な自己紹介。
当然、拍手の一つも起こらなかった。
峯君はそのまま黙って空いてた窓側の一番前の席に座った。
その席は峯君の為に用意していた物だから、先生は何も言わなかったけど。
「何あいつ…態度わる。」
「なんかムカつくんだけど。」
「何様だよ。」
峯君のクラスでの第一印象は最悪だった。
こうして峯君は、転校初日から皆に嫌われた。
