解放の本

「せいやあ!」

ナイフで力いっぱい切りつけようとした。怖いものは何もなかったはずなのに……
足が震えて動かない。

「怖いでしょう?でも、あなたの先輩はもう少し頑張ったのに」

「まさか……先輩が行方不明なのって……」

先輩の仇が目の前にいるのに体が動かない。

「動きたいのに動けないのって苦しいでしょ?でも、もっと私を楽しませてよ」

必死に体を動かそうとする私を見て笑っている。ここで負ける訳にはいかないのに……!

ごめんなさい先輩、私、まだまだでした……

オレガノ、霧矢……私は魔法には勝てない……
人が絶望した時、白い旗は現れる。