「桃子!こんな危ないことをするなんて……どれだけ心配したと思ってるの!」

お母さんは泣いて私を抱きしめる。青も泣きそうだ。私、家に帰らされるのかな……家に帰ったら、お母さんの過保護がもっとひどくなるに違いない。帰るわけにはいかない……!

「ちょっとトイレ行っていい?」

終わったらまだ話があるからねとお母さんが言ってきた。だがしかし、その話を聞くことはないだろう。だって私はまた違う場所へと旅立つからだ!
警察署から出ようとして、ある問題に気付いた。

お金が無い!

今までは、笑莉やオレガノさんの家のご飯を食べさせてもらったり、今回は紫陽花さんが調べに行く前におにぎりを2つくれた。でも、次の場所でもうまくいくとは限らない。一度家に帰ってお小遣いや食料を補給するか……?

「やっぱりいました!お嬢様、帰りますよ!」

「うーん。どうしようかな?」

「今回は珍しく落ち着いていますね」

もうそろそろ家に帰って、いろいろな物を補給した方がいいのかもしれないけど、2度目の家出は厳しいだろう。

「まあ私も成長したからね。うん、久しぶりに帰るよ」

2度目の家出もなんとかする。そんなことを考えているとは知らない青は、自分の毛を抜いて夢じゃないと呟いた。