「あいつって一体誰?」

「今、音子の後ろに……」

音子さんの後ろに、さっき見たあの女の人がいた。

「ああ、折角面白くなってきたところだったのに……面倒なことになったわ」

体が浮いていて、人じゃないことがわかる。真っ黒なオーラで、嫌な感じがする。

「あなた……音子さんに何かしたのですか?」

「何かって……嫉妬の本に願わせたりとかかしら?」

私を見て鼻で笑うと、音子さんの体に入り込もうとする。

「入らせない!」

阻止しようとして、音子さんを突き飛ばしてしまった。突き飛ばされた音子さんは放心状態になっている。

「本当邪魔ね。消してあげる」

そう言われた直後、万年筆が私に襲いかかってきた。避けると万年筆は消えた。
どうしよう、このまま避け続けるのは無理だし、こっちから何かできないかな。そうだ、霊なら塩とか効くかもしれない。

「誰か!塩思ってきてください!」

「塩?わかった」

紫陽花さんが台所に塩を取りに行く。

「もうあなたは音子さんに何もできない。消えるのはあなたです!」