「桃子ちゃん!どうして……」

青ざめた顔で音子さんが聞く。撤退しようと書かれた紙を見せられたけど、撤退したって逃げられない。なら……

「嫉妬の本に願って電車の事故を起こしたのは……音子さん、あなたですね!」

昔読んだ漫画の主人公のように音子さんを指差す。その漫画のようにうまくいくかはわからないけど。

「急にどうしたの!?私がそんなことする理由も無いのに……」

音子さんは動揺して、落ち着きがない。嘘つくのが下手なんだな……

「花鳥さんが電車に乗った理由は椿さんに会うためです。椿さんに嫉妬したあなたは嫉妬の本に願った……」

「嫉妬するなんて!椿さんは憧れていた先輩なのに!」

引き出しで見つけたあのシールの紙を見せると、音子さんは何も言わなくなる。

「紫陽花さん、他に何か見つけませんでしたか」

紫陽花さんがポケットの中からいろいろな物を出した。その中に日記があった。椿さんの悪口や、花鳥さんに近づいた人への悪口などが書かれていた。

「証拠が無いのに」「もう止めて音子!これ以上知らないふりしても意味ないわ!」

嫉妬の本が音子さんの言葉を遮った。

「桃子、あいつを止めて……」

嫉妬の本は泣いている。あいつとは、一体誰のこと……?