お店で飲み物を買って、それを飲んでいるときある噂が聞こえた。

「ねえ、種愛町に行く電車の事故は魔法が原因って噂、知ってる?」

「聞いたことある。なんか魔導書持った女の子がそれ使って脱線させたらしいね。しかも、杖とかは持たずに日記くらいの大きさの魔導書だけでだって」

魔導書を持った女の子……空操禁書を思い出した。でも、璃兎たちがそんなことをすると思いたくなかった。もし空操禁書なら何故そんなことをするんだろう。

「あと太部の話。ロボット使って強制的に病院に入れたとか。働いているときとか食事中でも連れて行ったんだって」

「怖いね~。だから太部は嫌なんだよ」

その言葉を聞いて、私は言葉が抑えられなくなった。

「やめてよ!見和さんだって普通はそんなことしない人だったんだよ!でも、みんなが差別するから否定する存在が意識を乗っ取って……」

「何この子……」

噂をしていた子達が立ち去っていく。周りからの視線が痛い。立ち尽くす私に誰かがぶつかった。

「わっごめんなさい!」

ぶつかった人は首や腕に包帯を巻いていた。その人はメモ帳に、大丈夫ですと書いて私に見せた。最初、何故メモ帳を使うんだろうと不思議に思った。でも気付いた。この人は声が出ないんだ。包帯は、もしかして電車の事故で……
考えすぎだと自分に言い聞かせ、気分を変えるためにどこか別のところに行くことにした。