家を出てから道をまっすぐ進むと、月百合町というところに来た。

そういえば、月百合町は笑莉(えみり)が住んでいるところだった。

「ということは……笑莉に会えるかも!」

でも引越していたらどうしよう……それより、寝ているかもしれない。

笑莉に会えるかな……

「あっ、ももこだ!久しぶり!」

「笑莉!」

笑莉はこっちまで走ってきたあと、

「あれ、今日は一人なの?」

と、聞いてきた。

「うん、一人で来たの。」

って言いたいところだけれど……残念、青がいます。

「お嬢様、ここで何をするのですか?」

ちょうどいいところに青が来た。

「違うよ、青もいる。」

あの時失敗しなければ、私は一人で自由に行動できるはずだったのに……

「早く帰りましょう。お母さんに気づかれますよ。」

「ああもうわかってるよ!ごめんね笑莉。また今度遊ぼう!」

私は青の言う通り、家に帰る……振りをする。

そう簡単に家には帰らない。

作戦はこうだ!まずは、普通に歩く。

そして、青が別のことに注目した途端にダッシュで逃げる!

我ながら完璧な作戦。絶対成功する。

私は作戦を実行する時を待ちながら歩き始めた。