解放の本

「もっと早くに気づいてればよかった~!」

私は今の気持ちを叫ぶ。最上階まで登るのは大変だったのだ。

「それ3回目だよ。で、その物知りな人はどこにいるの?」

笑莉は呆れた顔で私にそう言った。

「えっと……確かこの扉を開けたら……」

中に入ると、やっぱり埃っぽかった。

「げほげほ、あのー誰かいますかー?」

笑莉が声をかけると、奥のほうからあの女の子が歩いて来た。

「おや、今度は友達も連れてきたのかい」

「はい、解放の本について聞きに来たんです」

女の子は椅子に座り、カバンから何かを取り出した。

「解放の本、空操禁書の1つだよ。空操禁書は空間を操ったり、運命や世界も変えるほどの強力な魔力を持った本さ。使い方を間違えると、全世界を消してしまうかもしれないから封印されていたはずなんだが……」

「封印されていたその本を見和さんが持っていたんです。もしかしたら、見和さんがあんなことをしたのは解放の本のせいかもしれないんです」

笑莉は持っていた解放の本を女の子に渡した。そして、女の子は表紙を見ただけで

「ああ、これは本物だねぇ。きっと見和さんは、太部に住んでいる人たちへの差別やいじめをなくしたいと書いたんだろう」

と言った。中は見ていないのに何を書いたか当てた。

「それなのに、なぜこんなことに……」

「そうだねぇ……44ページを見たらわかる」

笑莉がページをぺらぺらとめくり、ちょうど44ページのところにでめくるのを止めた。

差別をなくすためには、みんな同じにすればいい。私と同じ病気になってしまえば、あの人だって私のことを馬鹿にできない。まずは太部の人からだ。そして周りの地域の人も病気にして、最終的には世界中の人もそうなればきっと世界は平和になる。病気になれば戦争もできないしね。

「もしかしたら、これが本当になってしまう……!?」