『お~い、起きなよ。風邪ひくよ。』

頬を軽くペチペチと叩かれ、声が聞こえた。

「ん…んん。」
『やっと起きた。キミ、大丈夫?』

目の前にいるのは、青緑の燕尾服を着こなしており、銀髪の髪に、碧眼の瞳がこちらを見ていた。

「だ、大丈夫です…!あの、貴方は?」
『………あのさぁ、人に名前を訊く時は、始めに自分の名前を言う。って教えて貰わなかったの?』

(っ…。)

「えっと…。」
『冗談だよ。気にしないで。』

少年は、目を細めてクスッと微笑んだ。

『僕の名前は、ルイス。キミは?』
「坂井芽衣です。」

(なんだろ…名前は思い出すのに、記憶が……ない?)

少年は、芽衣を立たせてから膝をおり、芽衣の甲にキスした。

『よろしくね?芽衣』


(ちょっと、待ってよ///)

「よ、よろしくお願いします!ルイスさん。」

戸惑いつつも、返事をした。

『ルイスでいいよ。それよりもう遅いから、僕の家においでよ。』

空を見上げると、月と星がいつもより輝いて見えた。