ヒエラルキーの悪夢

「もう…愛実ちゃん、怪我していないよね?」
「え?……あ」
「……指に刺さっているじゃない。しかも血が垂れてる」
「ご、ごめん…」

日向の隣にいる世話焼きな女子生徒の名前は倉本 詩織(くらもと しおり)。優しくて健気な女の子である。日向の友達と言っても、日向とはとても違う。まるで天使のようだ。

「愛実ちゃんは気にしなくても、私が気にするの」
「……舐めておけば治る」
「治らないっつーの。いい?怪我はちゃんと教えて」
「面倒くさいから嫌だ」
「まずはその面倒くさがりやを直そうか」

そう言って、詩織ちゃんは日向の胸を軽く小突いた。そして、自分より8cmほど高い日向の頭を強く掴んだ。少し離れている私にでも分かるのだから、力を入れているのだろう。