伴奏者がピアノの前まで行き椅子に座ったのを合図に、指揮者が指揮台の上に踏み出して立った。
指揮者が両方の腕を上げ、足を肩幅開けてスタンバイする。
指揮者の振りに合わせて、伴奏者がピアノを静かに弾き始めた。
綺麗なピアノの高い音色。
穏やかに腕を動かす指揮者。
そう、この曲は、七海が前に鼻歌で口ずさんでいた曲。
卒業式の選曲をした時、あたしが立候補したんだ。
そしたらなんと賛成意見が多数出て、そのまま卒業式の曲に抜擢。
練習をしてて、思った。
七海が口ずさんでいた鼻歌。
静かな、優しい歌だった。
それは、あの海みたいに綺麗で。
思わず七海を…君を思い出す曲だった。


