「銀」


「かぐや」


二人は同時にお互いの名前を呼んだ。


「さっきの態度は悪かった、でも俺・・・」


「違う、わかってる。私が悪かったの。ごめんなさい」


お互いの顔を見て小さく笑いあった。


「理性が邪魔をして上手く表現できない時もあるけれど、私は銀が好き。


離れたくないよ、ずっと一緒にいたい。


でも、漆黒の炎へ身を投じることを躊躇すれば、


その間にもたくさんの人が魔物の被害にあっていて


自分の気持ちを優先してはいけないと思ってた。


そうしたら、銀の気持ちを傷つけてしまった」


「我がままと言われても、俺はかぐやと生きるためなら何でもする。


どうしても漆黒の炎へ命を捧げなければならなくなったら、俺も一緒に行く。


死ぬも生きるも一緒だ!」


銀はかぐやを抱きかかえて自分の膝の上に座らせると、ぎゅっと抱きしめた。


「銀」


「心配するな、すべて片づけたら俺たちは里へ帰る。そうしたら結婚しよう」


かぐやは驚いて銀司の顔を見た。


月明かりに照らされた銀の顔はとても頼もしく見えた。


「うん」