何だか急にいたたまれなくなって
「や、山河くん!」
気付けば大きい声で名前を呼んでいた。
さっきとは違い、すぐに私のほうを向いてくれた山河くん。
少し、微笑んでいるようにも見えたけれど
彼は無表情のままじっと私の目を見つめた。
「あの、えっと……」
「何?」
「どうしていつも外ばっかり見てるの?」
純粋に、ずっと前から気になっていたこと。
外に何があるのだろう。
何を見ているのだろう。
前から思っていたことだった。
「私もね、何見てるんだろうなあって、山河くんみたいに外を見たことがあるんだけど。でも、別に何も変わったものは見えな――」
「笹木さんって、嘘っぽいよね」
――ドクン
笑顔でそう言った山河くんに私は大きく目を見開いた。

