窓際の山河くんの隣は。


何だか急にいたたまれなくなって


「や、山河くん!」


気付けば大きい声で名前を呼んでいた。

さっきとは違い、すぐに私のほうを向いてくれた山河くん。

少し、微笑んでいるようにも見えたけれど
彼は無表情のままじっと私の目を見つめた。


「あの、えっと……」

「何?」

「どうしていつも外ばっかり見てるの?」


純粋に、ずっと前から気になっていたこと。

外に何があるのだろう。
何を見ているのだろう。

前から思っていたことだった。


「私もね、何見てるんだろうなあって、山河くんみたいに外を見たことがあるんだけど。でも、別に何も変わったものは見えな――」

「笹木さんって、嘘っぽいよね」



――ドクン



笑顔でそう言った山河くんに私は大きく目を見開いた。