窓際の山河くんの隣は。


「あ、え、えっと、そ、そんな悪いよ!私のことは気にしないで――」

「いや、別に俺帰ってもすることないし。こうやって外見てたら時間過ぎてるし」

「……」


私がなんて返そうか、迷っていると、


「早く自分の席行きなよ。俺の前でそんなじっと立ってられても困るんだけど」


そう言いながらまた視線を窓の外に向けていた。


「ご、ごめんね。じゃあお言葉に甘えて……」



私は自分の席に着いて、参考書を広げた。

それから少しすると、教室に居た山河くん以外のクラスメイト達がみんな帰って行った。


教室には私と、山河くんと二人っきりだった。

その慣れない状況に私は少し落ち着かなくて、
解いていた問題に集中できなかった。


いつもなら5分で解けた問題も、20分もかかってしまった。


ふと、山河くんの方を見ると彼は本当にずっと、
頬杖をつきながら窓の外を見ていた。